シアワセの定義

懐かしい

昔付き合っていた彼女が合コンにいたらどうするか。気づかないふりをするか、自己紹介の前に声をかけるか。しかも、その彼女は高校時代とは違って、服のセンスはとてもよくなって化粧で大人っぽくなっていた。結局俺は、何の気なしでいや何の気を装って、結衣?って自己紹介のときに聞いてしまう。
「裕希、どこの学部だっけ?」
「教育学部だよ、結衣は?」
「え!?私も教育学部(笑)」
「先生になるんだっけ?」
そういえば、高校の頃、保健室の先生になりたいな~って言ってたことを思い出した。
「そそそ、養護教諭です~裕希は英語だっけ?」
「よく覚えてんじゃん!」
「どやっ(笑)」
正直結衣と別れてからずっと後悔してた気がする。もちろん彼女以外に好きな人はいたけどなんだかしっくりこなかった。結衣には独特の雰囲気があるのだろうか。彼女自身は別れてからどうやって過ごしたのだろう。高校時代は、あれ以来接点はなくなってしまい、時々雨のときの部活で結衣が廊下で吹いていたサックスの音色だけだった。今でも続けているのだろうか、聞きたいことは山ほどある。好きな人はいるのかとか、バイトは何してるのかとか、結局何も聞けずにお開きになってしまった。唯一できたことは連絡先を交換したこと。あの時はいわゆるガラケーだったけど、今はスマホ、連絡手段もかわった。今流行りのSNSに新しい友達と表示された、工藤結衣という名前。大学の友達とのプリクラ、俺の知らないところで彼女は前に進んでいる、そんな現実を突きつけられた気分だった。
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