Pure Love 【短編】
飯を食っているとき、先輩のほうを見ることが出来なかった。
どうやって、家に帰ったかも、覚えていない。
フラれた、のか俺は。
ベッドにねっころがって、ようやくそのことを理解した。
けれど、それよりも頭の中を支配するのは、先輩の震えていた小さな背中。
彼女は、何に対して怯えていた……?
「おう、ハル。
どうしちまったんだよ。
珍しく元気ねぇじゃねぇか」
勝手に入ってきていた、隣の家に住む夕が、俺のマンガの入っている本棚を物色し始めた。
相手にする気力もなく、いつもは叱るはずの俺も、夕をとうとう無視した。