白い隊服
ど、どうしてこんなに早くに?
土方副長は誰も来ないから大丈夫だ、と仰っていたのに!
...あ、でも、斎藤先生や幹部のみなさんは私のこと知っているから平気なのか...。
いきなり現れた斎藤先生によって思考が定まらない。
「...御堂、ここで何をしている。」
ハッ 「さ、斎藤先生、おはようございます。
柔術の稽古をしておりました。」
「お前一人ではないか」
「はい...性別を偽っている手前、他の隊士達と稽古は出来かねますから...。
このような早朝であれば人目につかないと思ったのですが...。」
「何故稽古をしている。
お前は隊医なのだから、そのような稽古は必要ないはずだ。
何か他に鍛える理由でもあるのか?」
もともと無表情な彼が眉を寄せるとさらに怖い。
きっとまだ間者だと疑っているのだろう。
「...違います。
隊医であるからこそ、これから戦場に向かうこともあるでしょう。
私は自分の身は自分で守れるように稽古をしているだけです。
このご時世、いつ死ぬか分かりませんから。」
どうか伝わってほしいーーーーーー...
しっかりと彼の目をそらさずに言う。