キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
言われてみればぐうの音も出ない。
さっきのコンビニ買物の時が思い浮かぶ。
家を出る前はなんにも考えなかったけど、
夜道は確かに怖かったし…、ナンパされてもどう断っていいか困ったし…。
蒼が気にかけてついてきてくれて、ほんと良かったな、って今なら思う…。
くやしいから、口が裂けても蒼には言わないけど。
「まぁとにかく。
これからも蓮の料理を独り占めできるのって、俺だけってことで、いんだよな」
「…まぁね」
「やり」
「今のところ、だけどね…!」
と言うのが精一杯で、私は思わずふいっと顔をそらしてしまう。
蒼がほんとに嬉しそうに微笑んで私を見つめていたから。
なによ、そのキラースマイル。
そっちこそどうなのよ。
いろんな女の子からいろんな料理作ってもらってるくせに。
と思うけど、
『俺、おまえの味が一番好きだし』
今日のお昼休みの言葉が脳裏によぎった。
そして、
不意にとある事実に気づいて、私の胸はいっそう早鐘を打った。
そっか…。
私の料理を『独り占め』って言うけど、
モテ男の蒼を独り占めしてるのは、私なのね…。