キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~

目に入った風呂場のデジタル時計は、余裕のない時間を表示している。



…とにかく、お風呂入らなきゃ。

熱いお湯に入れば、気分もさっぱりするはずだ。



勢いよく出したシャワーを頭から浴びて、

ごしごしと無我夢中で身体を洗う…

けど、



一度自覚してしまった意識はぬぐいとれなかった。





今更だけど、気づいてしまった。





蒼は『男』なんだ、って。





解かってたつもりだけど、本当は全然解かってなかったんだ、私。

大きな身体や低い声をしていると知っていても、『へなちょこ蒼ちゃん』のカバーが私の目に貼りついていたから。



けど、あの鋭い、オオカミみたいな目が、それを引き剥がしてしまった。



もう私の目には、蒼が『男』にしか見えなくなってしまった…。



それも、とびきりカッコよくて、色んなことにうわてそうな、アブナイ男の子に…。





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