キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
ふわっと香る、せっけんの匂い。
手の平や頬に感じる、すべすべの硬い肌…
あ、熱…っ
なによりも、お風呂上りのせいなのか、すっごく熱くって、
火傷したかのように、咄嗟に離れた。
「ご、ごめん…!
バランス、崩しちゃって…」
もう、蒼の顔がまともに見れなくて…
真っ赤になってうつむいたまま言うと、
「いいよ、別に」
ぽん、と子供をあやすように、頭を撫でられた。
「バスタオル、新しいの持って来てくれたのか?
ごめんな。
俺気づかなくて、勝手に使っちまったな。
ありがと。
じゃあこっち使わせてもらうわ」
と、新しいバスタオルを取ると、ネコちゃんの方を私の頭の上にかぶせて、
ショールのように包んだ。
「てかおまえ、髪乾かせよ。
風邪ひいちまうだろ」
そして、のぞきこむように微笑むと、ごしごしとふざけるように髪を拭いて、脱衣場から出て行った…。
私はバスタオルをかぶったまま、しばらく立ち尽くしていた。
ドキドキが止まらなくて…
蒼の優しい微笑が頭に焼き付いて…
苦しくて…。
どうしようもなくて…
火照る顔をネコちゃんで隠すと、ふわりといい香りを感じた。
蒼から香ったのと同じ、せっけんの匂いだった。