キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~






小さい頃。



初めてから数えて、三回目のおつかいに行った時のことだった。



いつもより少し遠くのお店に行ってきて、と頼まれ意気揚々と出たら、道に迷ってしまった。



歩いても歩いても、行きつくのは知らない世界。



その時の私は、少しでも仕事や家事に追われている美保ちゃんの助けになりたいと、幼いなりに懸命だった。



だから、不安に覆いつくされながらも、どうにかたどり着こうと気丈を装って、ひたすらに歩いていた。



けれども、小さな胸には恐怖が溢れかえっていた。



もう二度と美保ちゃんに会えないんじゃないか…。

このまま、知らない世界を独りで永遠にさまようんじゃないか…。



そう考えては、泣きそうになるのを必死に堪えていた。





やがて、そんな私を追い詰めるように、空がどんよりと曇り始めた。



雨が降りしきって。

そして、轟いた雷。



幼い私には、それが初めての雷だった。



空気が震えるほどの轟音。



まるで『おまえはずっと独りぼっちでいろ』と宣告するみたいに鳴り轟くそれに、不安と恐怖にもろくなっていた私の心は、あっという間に打ちのめされてしまい、



すっかりすくみ上って、建物の軒下にしゃがみこんだまま、泣き崩れてしまった…。
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