キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
『昨晩無事出張先のホテルに着きました』
『今日からこちらでお仕事してます』
『そっちは天気崩れるみたいだけど、大丈夫?』
『いつも急で本当にごめんね。
でも蓮の将来のためにも、美保ちゃん、出世目指して頑張るからね!』
最近お気に入りって言ってたブタさんのスタンプを交えた、美保ちゃんらしい明るいメッセージ…。
気づけば、私は涙をこぼしていた。
ぼやける視界の中で、指が勝手に通話ボタンをタップする。
帰ってきて、美保ちゃん…。
寂しいよ…。
もう…今回ばっかりは無理だよ…。
私、頑張れない…。
けど、
はっとなって、キャンセルする。
頑張るって美保ちゃんが言ってるのに、私も頑張らないでどうするんだろう…。
ドーン!!
「きゃあ…っ!」
でも、でも…ぉ…
怖い…不安だよ、つらいよ、怖いよ、怖い…!
だって私、明姫奈も誰も頼れないんだもん。
独りぼっちなんだもん…。
『蓮ちゃん』
こんな時だとういうのに、なぜか脳裏に懐かしい声がよみがえった。
『蓮ちゃん、蓮ちゃん』
小さい頃の蒼のものだった…。