キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
『俺がいるから大丈夫だよ。
だから泣かないで』
あの時…あのお使いの時、
実は、蒼も一緒だった。
邪魔だからついて来ないでって突き離したにもかかわらず、いつもの調子で追いかけてきた蒼。
普段姉貴面して威張っている私が、びしょびしょになって泣きじゃくるのにびっくりしながらも、
ほんとは自分だって雷が怖いくせに、
一生懸命に私を慰めてくれた。
『俺がいるから大丈夫だよ。
蓮ちゃんは、独りぼっちじゃないよ」
守られてばかりの蒼がいたって、なんにも変わらない。
へなちょこ蒼がそばにいたって、なにも心強くない。
はずなのに。
ぎゅうと小さな身体で私を抱きしめてくれた瞬間、
不安や恐怖が、ほろほろと溶け消えていくのを感じて、わかった。
私、自分で思っているよりも、ずっと背伸びしてたんだ、って…。
そして思った。
蒼がいてくれて、よかった、って。
あの時初めて、蒼という存在がそばに在ることに、幸せを覚えたんだ…。
って言っても、当時から意地っ張りだった私。
そんなことは口が裂けても本人には言えずに、変わらない日常を過ごしていった。
蒼と私の立場が逆転したのは、あの時限り。
それはこれからもずっと変わらない。
って、思っていたのに…。
いつのまにか、
蒼だけは、変わってしまっていた。