キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
嫌われたくないの...
そう思った途端、嫌な緊張感が押し寄せてきて、熱でぼんやりしていた頭も冴えてきた。
一方的に突き離して帰ってしまった手前、なんて話すればいいのか気まずいけれど、とにかく呼びかけてみる。
「蓮」
『……』
だんまりでも決め込むつもりか?
と思ったけど、ぽつりと答えが返ってきた。
『…風邪、ひいたって?』
けどその声は…ひどく硬くて冷たい。
…やっぱ、怒ってるかな。
『昨日家帰って、ちゃんと温まらなかったの?』
「…みたいだな」
『ばっかじゃないの?小さい子じゃあるまいし』
と続ける口調は、いつもみたいにツンケンしている。
まるで、昨晩のことなんて、なかったみたいに平然としていたいらしい…。
あーあ可愛くね。
「ずいぶんな言い方してくれるけど、誰のせいでこうなったと思ってんだよ」
『…』
「昨日のこと、なしにしようとしたっては、そうはいかないからな」
『…』
押し黙る雰囲気が、蓮の困惑ぶりを伝えてくる。
それでも俺は詰問するような口調を抑えることができなかった。
「言っただろ、俺の想いに報いることしろよ、って。
答え、出せよ。もう、わかってんだろ。
俺がウザイなら、ちゃんと振れ。それができないなら認めろよ。
俺のことが、好きだって」
『だ、誰があんたのことなん』
「ムカつくんだよ、いい加減、もうそんなガキみたいな返事は」
『…』
「素直になれよ…」
『…』
「なにか言えよ、蓮、おい、蓮」
『…』
「言えよ!」
『おいおい蒼』
答えたのは、蓮ではなく岳緒だった。
『おまえ、なに怒鳴ってんだよ。
蓮さん、泣いちまったぞ…!』
「……」
泣いちまっただと…?
ったく、自分が悪いんだろうが…。
『なにがあったんだよ、蒼』
「…別に。おまえには関係ねぇよ」
『はぁ?』
「もういい。切るわ」
「おいちょっと待てよ、そ」
俺はスマホをタップすると、枕元に投げ捨てた。