キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
「……」


「朝会った時から…ずっとこうしたくてたまんなかった。
でもおまえ、なんか緊張しているみたいだったから」


「き…緊張なんかしてない」


「うそつき」



私の強がりなんかお見通しだって感じで、蒼は小さく笑った。



「……」



大当たりだから、なんにも言えない私…。





「でもわかる。緊張するよな。
俺だっておんなじ」



蒼が…?



「だってずっと抱えてた片想いが叶ったんだからな。
昨日ずっとおまえに看病してもらってた時も、夢みたいだなって全然実感わかなかった。
でも、さ」



ぎゅう



と抱きしめる力が強くなる。



「俺たちもうカレカノなんだよな…」





『万感の想い』って…こういう感じの時に使うのかな…。





そう吐息まじりにつぶやいた蒼の声は、本当に幸せそうにしっとりと私の胸に染み入って、ほんのりと温かさをあたえる。





そうだよ…。



私、カノジョだよ。



蒼のたったひとりのカノジョだよ…。
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