キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~

たしか堺先輩は地元の大学に行くって…。


『部活引退したら受験勉強で忙しくなるからあまり会えなくなるんだよねー。

だからせめてお夜食とかお菓子とか作ってあげたいから、蓮、教えてね!』



って、明姫奈言ってたのに…。





「バスケで推薦の話が来て…。
やっぱりバスケが好きだから行きたいって、決めちゃったの」


「明姫奈に相談もしないで?」



こくり、とうなづいた。



「そんな…ひどいよ、先輩…」



明姫奈は泣きそうな顔に大人びた微笑を作った。



「仕方ないよ…。
私だって好きなバスケ続けて欲しいって思うもん。
たとえ相談されてたって、『いいよ』って言っていたと思うし…。
遠距離にはなるけど、別れるわけじゃないし…」



でもね、と続けて、明姫奈はうつむいた。



「それを聞いたのがちょうど、三日前の夜で…。
聞かされた時ショックですっごい泣いて、泣いて…。
翌日の学校にもどうにか来れたって感じで…落ち込んでたの…。
だから、蓮の蒼くんとのこと聞いた時…つい、嫉妬しちゃったの。
『幼なじみと付き合ったら、いつも一緒にいられるのに、ズルイ』って…」


「そう…だったんだ…」


「完全に八つ当たりだよね…。
いつも落ち着いている蓮があんなに慌てるなんて、よほど困っていたのに…。
ごめんね。
私、ひどい友達だったね…」


「そんなことないよ…!私の方こそ、明姫奈がいつもより元気ないの気づいていたのに、自分のことで頭が一杯で…ごめんね」


「…仲直り…してくれる?」


「もちろんだよ。
私、明姫奈よりずっとお子様で役に立たないかもしれないけど…なんでも聞くし、元気出したい時はどこでも一緒するよ」


「ありがとう、蓮…」



明姫奈の可愛い顔に、やっと笑顔が戻った。



「あ、あと、大好きなシュークリームもいっぱい作ってくるよ!」


「それは困る。太ってフラれるわけにはいかないもん」



二日ぶりの、明姫奈の笑い声。



よかった。



まだ…作り笑いも入っているかもしれない。



けど、また二人仲良しの親友に戻れたから、



少しずつ元気になってもらえるといいな…




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