キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
ふぅぅぅ。
最後…絶対面白がって言ってたな、美保ちゃん
私、終始しどろもどろしちゃった。
…これはバレるのも時間の問題かも。
ってか、オオカミってわかってたなら留守番させないで欲しかったなっ。
ま、おかげで蒼と進展できたわけだけど…。
「おばさん、なんだって?」
真っ赤な顔をしてスマホを見つめている私に、蒼が話し掛けてきた。
その顔は、なんだかイタズラめいた表情を浮かべている。
もしかして、声漏れてた?
「あ、明後日には帰るって。
帰ったら蒼と一緒にご飯いかない?って」
「飯か、いいねぇ。
っても、実は俺もさっき親からメール来てさ『予定通り明後日には帰れそう』って」
「そうなんだ」
「そう」
「…」
「…」
訪れた沈黙の中、蒼は変わらず意味深な微笑を浮かべて私を見降ろしていた。
「な、なに?」
「蓮はさ、残念って思わないの?」
「なに、が…?」
「せっかく付き合い始めてふたりきりになれてるのに、そんな生活もあと二日で終わっちゃうんだぜ?」
「……」
「学校でもナイショ、親にもナイショ。
ふたりっきりになれる時間なんて、ほとんど無くなるじゃん」
ずいっと鋭い目をした顔が近づいてきて、私は思わず視線をそらすしかない。
「ふ、ふたりっきりなんて…家や学校以外でもなれるじゃない?
お買い物行ったり、映画観に行ったり…。
あ、私、ゲームセンターとか行って、プリクラとか憧れるなー?」
「ふぅん。
じゃあ、
そこでならギュってしていいの?」
「……」
「キスも、していいのか?」
「……」
手をつかまれて引き寄せられる。
そして、低い声で耳にそっと打ち明けられた言葉は、
恐れていた通り、
甘くキケンな誘いだった。
「俺、もっと蓮が欲しい…」