キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~



『オオカミなんだからね!』



やっぱり…美保ちゃんの言う通りだと思う。



まっすぐに私を見降ろす目は、怖いくらい鋭くて…

にらみすえられた子羊みたいに、私は固まってしまう。



「やっぱ、ダメ?」


「……」


「もう滅多にないよ?
こんな風にふたりっきりで過ごせるチャンスなんてさ…」



そうだけど…



そうだけど…



どうして?

どうしてそんなにせっかちなの?





私、もっと、大切にされたいよ…。





「そ、そんなの…」


「困る?」



こくん…と私はうつむいた。



だって…まだ私、蒼に『好き』って気持ちさえも伝えられてないんだよ?



「だよなぁ」



ふぅと短く溜息をつくと、蒼は私から離れた。



その顔は、無表情だった。けど、



怒った…かな…。



かえって不安になる。



ちょっと前までは、『そうですか』って平然としていられたはずなのに…。



蒼に恋してからは…



信じられないくらい臆病者になってしまった。



くやしいよ…。



でも



蒼に嫌われたくない…。
< 231 / 281 >

この作品をシェア

pagetop