キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
「なんだよ蒼、邪魔すんなよ」
突然起きた俺たち三人の騒ぎに、回りから興味津々の視線が集まる。
けど、もう俺もいい加減黙ってられない。
ごめんな、蓮。
「わりぃ岳緒。
こいつは俺のもんだから」
「は?」
「こいつと付き合ってるのは、俺だから。
誰にも触れさせねぇ。
告白もだめだ」
辺りは騒然となった。
どよめきやけたましい悲痛をあげる女子生徒に囲まれて、
蓮は茫然となって、
やがて真っ赤になってうつむいた。
「ほんと、蓮さん?
蓮さんって蒼のことが好きなの?」
岳緒の問いに、
回りの生徒達のどよめきに、
押し潰されるように、蓮は下をむいたままでいる。
蓮…。
俺はそんな蓮を、息が止まりそうに緊張しながら見守っていた。
頼む、蓮。
がんばってくれよ。
こんなことになって、本当にごめん。
でも、言ってくれよ。
『蒼が好き』って…。
けど蓮は、
うつむいたまま、逃げるように走って行ってしまった。
「蓮!」
呼び掛けた俺に、蓮ははっとしたように振り向いて、俺と視線を絡ませた。
そして、歪む顔…。
涙をこぼすと蓮は、振り向くことなく走り去って行った。
追いかけようとした俺は、その前に岳緒に振り返った。