キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~

蒼の息が荒くなってきて、貪るように唇を重ねられる。



覆い被さられるように、壁に押し付けられる。





カサ…





その拍子に、私のパーカーのポケットから、落ちたものがあった。



横目にそれを見て、さすがに私は意識をひんやりとさせる。



真四角の一見、薬みたいなパッケージ。

それは、さっき明姫奈に押し付けられたものだった…。



やだ…拾わなきゃ…!



けど、遅かった。

蒼は気づいていた。



「…なんだよ、これ」


「こ、これはあ、明姫奈が…」


「…やるね、あのコ」



蒼は焦るように視線を外した。



「しまえよ。
そんなの見たら俺、スイッチ入っちゃうから…さ…」



てか、もうすでにヤバいから…。



と私を離そうとした蒼の手に、

私はそっと、自分の手を乗せた。



「いいよ…蒼」


「……」


「私、前に進みたい。
蒼と一緒に…」



蒼は目を見開いて、私を見つめた。



「マジかよ…」



うん、とうなづく。



「蒼に全部あげたい…
大切にしてほしい…」




< 271 / 281 >

この作品をシェア

pagetop