キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
チクンと胸の痛みを覚えながら、私は言葉を探した。
「岳緒くんはずっと素敵な男の子だよ。
私の方こそ、ありがとう…ごめんね…」
「いいんです…。
いいんです!」
岳緒くんはぶるんぶるんとかぶりを振った。
「いいんです。いいんです、蓮さん…!」
でも…見る間に顔が歪んで…
「…いいんですうっ!」
走り去って行った。
「ほ、ほんとによかったの?蒼…」
「ん、いいんだよ」
と蒼が言ったところで、岳緒くんがくるりと振り返って叫んだ。
「ちくしょー!絶対蓮さんよりキレ―なカノジョみっけて、おまえを見返してやるからな!覚悟しろよっ蒼!」
「……」
「バカか、あいつ、あんな大声で…」
廊下にいた生徒たちの視線を浴びて、私と蒼はさすがに顔を赤くした。
このままここにいるのは、なんだかいたたまれない…。
「蓮。
これから時間ある?
屋上いかね?」
蒼も同じこと思ったみたいで、誘ってくれた。
明姫奈は堺さんとあって昼休が終わるまで戻って来なさそうだ。
「うん、いいよ」