キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
『今駅につきました。
蓮が帰った頃には戻ってるから、まっすぐご飯いこうね』
「だって?」
一緒にスマホを眺めていた蒼に、私はニヤリと笑った。
残念でした。
そう簡単に好きなようには振り回されないんだからねっ。
けど、そんな私なんかお構いなしって感じで、蒼はぐいっと私を引き寄せた。
「ま、別にいいけど。
だってもうおまえは俺のものだし。
ぜんぶ。ぜーんぶな」
私は真っ赤になってうつむくしかない。
言われた通り、私はなにもかも蒼にもらわれてしまったから…。
ね、美保ちゃん。
私、無事にお留守番乗り切れなかったよ…。
幼なじみの皮をかぶった一途なオオカミ君に、
こてこてに甘くコーティングされて、最後は美味しく食べられちゃったよ…。
こんなこと知ったら、美保ちゃん、泣いちゃう…?
でもね。
私、ちょっとだけ大人になったんだよ。
高く突き抜ける青空を見上げると、優しく微笑む蒼と出会った。
大好きだよ、蒼。
こんな素敵な気持ちに導いてくれてありがとう。
これからも、ふたりで一緒に歩いていこうね。
まぶしさに目を閉じると、優しい温もりが、ふんわりと唇に落ちてきた。
胸にまた少し幸せが満ちた気がした。
Fin