キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
「おまえら練習に集中しろよ。
来年なんてすぐ来るんだぞ」
『はい…』
ほらみろ、色ボケどもが。
いつもは一緒にふざけてくれる先輩も、お冠だぞ。
っても、先輩も俺と同じように、イラつく理由は個人的なものかもしれないけど…。
実は先輩の彼女が、あの蓮の友達の明姫奈ってコだったりする。
俺は蓮を通じて知っていたけど、二人とも校内ではモテモテだから、付き合っていることをあまり公にしないようにしている。
だから事情を知らない岳緒たちが騒ぐのは仕方ないけど、
校内でも指折りの美少女と言われているコを彼女に持つと、やっぱりさすがの先輩ものんびりしてはいられないみたいだ。
そんな先輩が、俺にはけっこう意外だ。
近寄って来る女に見向きもせず、バスケ一筋だった先輩も、ああいうコには弱かったんだな。
岳緒たちを追い払うと、先輩は俺の元へやってきた。
「あいつらと比べて、おまえは変わらず練習熱心で感心だな」
「いえ」
こちらこそ、あいつらを蓮から遠ざけてくれて、感謝します。
「俺の最後の一年は終わっちまったが、次はおまえが部をひっぱる番だ。
頼むぞ、新部長」
「はい」