キケンなお留守番~オオカミ幼なじみにご用心!~
蓮の家に着いたのは八時近くだった。
部屋は真っ暗だった。
「あれ美保ちゃん…
まだ帰ってないんだ」
「もうかなり遅い時間なのにな。
忙しいんだな、おばさん」
「うん。まぁいつも遅いけど。
でも今かかえてる仕事、出世がかかってるらしくって、最近は帰ってこない日もあるんだけどねー」
口調は淡々としていたけど、少し寂しげだった。
俺の母さんは専業主婦だから、いつも夕食を作って俺を待ってくれているけれど、
旅行に行っている昨日は、初めて真っ暗な部屋にひとりで帰る感覚を経験した。
寂しいとは思わないまでも、やっぱりなにか味気ない感じはした。
あの感覚を、蓮はほぼ毎日感じていたのか―――
そう思うと、俺の胸は複雑な痛みを覚える。