マシェリ
「マジ、何をニヤニヤしてんの?キモイんだけど」


咲を視線で追っているうちに、だんだんあたしの顔は綻んでいたのだろう。


隣で、シュートをしてた、1年からずっと同じクラスの親友、まひろがあたしにそう茶化してくる。


「だってかっこよくない?」


背の高い咲は、あたしと20センチくらい差がある。その長身を生かしてか、どんどんゴールにシュートを決めている。


その姿にまた見とれていると、まひろは深いため息を落とした。


「羨ましい限りです」


そう言いながら、女子の部員はどんどんシュート練習をしている。


「うん、かっこいい!!」


そう言いながら、あたしもロングシュートを打つと、パシッ!!と、ゴールを決めた。


「ナツキも絶好調じゃん!!」

「まぁね♪」


なんて言ったって、今日は1日中一緒にいられる日。こんなに幸せなことはない!!


先輩たちも今年の夏、引退したばかりで、少しだけ広くなった体育館。


顧問の磯貝先生も、2年の男子のバスケ部はかなり強いから期待をしているのか、気合いが違う。


去年よりもっと楽しくなりそうな部活にも、心が弾む。



「それより、今日、部長と、キャプテンの発表じゃない?」


まひろがそう言いだした瞬間に、シュートを打っていたあたしのボールはゴールにさえも届かず、下に転がって行った。


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