こんなに好きで
愛菜は、ゆっくりと掴んでいた俺の手を取って
ゆっくりと
離した
行き場を無くした手は垂れ下がりもう一度動くこともできない
「隼人…………ごめん、ね」
愛菜の頬を雫が弧を描いて落ちていく
パタン
戸の閉まる音だけが響いた
ドクン
ドクン
何が、起きた?
心臓が嫌な音を立てる
「ま、な?」
絞り出した声はもう、声にもならない程に掠れて情けなくって
それが、現実なんだと思い知らされた気がした