手紙は時を駆け抜けて
1.あの世からの手紙
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日常なんて、同じことの繰り返しだ。
朝一番にカーテンを開けはなった窓の向こうは、いまだ眠たげな曇天模様。
でも壁掛け時計はカチリとまたひとつ、音を響かせる。
私は機械的にブレザーへ腕を通す。
そして、床に置いてあるカバンを拾い上げ、教科書を鷲掴んでつっこんだ。
その時、くしゃり、何かの紙が鳴いた。
私は薄暗いカバンの中を覗きこむなり、下唇を噛む。
薄っぺらな内ポケットからはみ出している角の傷んだ紙。
鉛筆書きのあどけない文字が刻まれたピンク色の封筒……。
思わず勢いあまって引いたファスナーが、短い悲鳴をあげた。
けれど、私は聞かなかったフリを決め込んで、今日も同じ一日を始めるのだ。