手紙は時を駆け抜けて
チェック柄のテーブルクロスでしゃれこんだ机が並ぶ教室の片隅で、至極当たり前に3人そろって座り込んでいる私たち。
学園祭のド定番で男子のロマンでもあるメイド喫茶に決まったうちのクラスは、教室の色も雰囲気もピンク色に染まりきっていた。
メイド服を試着している女子たちに鼻の下を伸ばす康太の頬も、もちろんのこと。
「毎日が学園祭だったらいいのによぉ。最高だよな、メイド服! 明日香みたいな男勝りなのは願い下げだけどよ」
「ああ、私も康太みたいなチャラ男はゴミに出してやる」
「ふたりとも今日も元気だね。だけど、毎日がお祭りだったら、お祭りじゃなくなっちゃうよ」
油断も隙もなく女の子たちに手を振る康太と、いちごミルクなんかすすっているくせに辛いことしか言えない私と、可愛くて落ちついた詩織。