手紙は時を駆け抜けて


怒りを握った拳は、コイツが散々気にしていたツンツン頭に見事クリーンヒット。

康太は女々しく涙目になって私に猛抗議。

けれど動じない私に、康太は子供みたいに肩を落として壁にもたれた。

「たく、いいじゃねえかよぉ。俺ら、最後の学園祭なんだぜ……。青春、終わっちまうんだぜ」

柄にもない儚い吐息のような声が、耳に吹き抜ける。

胸が突然ギュッと苦しくなって、私は目を見開く。

康太の手からぶら提がっているペットボトルの中で、飲みかけのコーラがゆらりと揺れていた。

既に数の少ない泡がふらふらと上にのぼっては、あっけなく消えていく。

私はふたりから顔を隠すように俯くなり、眉をひそめた。


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