手紙は時を駆け抜けて


<学園祭の夜、屋上に来てくれないか?>

「学園祭のキャンプファイヤーの夜ね……」

「なんだよ、明日香。お前がそんなロマンチックなもんに興味あったのかぁ?」

気がつけば口走っていた私の前に、康太の首がぬっと生えてきた。

「違うってば! 女子たちが騒いでるから、ほんのちょっと気になっただけで。ていうか、いちいちひとり言に首突っ込まないでよ!」

「恥ずかしがらずともよいのだよ、明日香くん。ふむふむ」

すかさず私たちの前に躍り出た康太は、かけてもいないメガネをぐいと押し上げる素振りを見せすっかり先生気取り。

恥ずかしがってねぇよとつっこむ間もなく、高笑いとともに康太の大声が張りあげられる。


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