手紙は時を駆け抜けて
「この俺がレクチャーしてやろう! 我が校に伝わる青春の夢、学園祭のキャンプファイヤーの夜の奇跡をな!」
私はすっかり表情を失ってドン引き。
両腕を大きく広げ、瞳を大昔の少女漫画のヒロイン並みにキラッキラッに光らせている康太のオンステージが勝手に始まる。
「後夜祭でキャンプファイヤーが行われる時刻、誰にも見られず男女二人きりで屋上に行くのだよ。そしてそこから地上のキャンプファイヤーを見たふたりは、永遠に結ばれるのだ! なんてロマンチックなジンクスだろうな!」
やっと語りおえたと思えば、男のくせに乙女みたいに身をよじりだす。
「俺、今年はどうしようかなぁあ~。んふふふ」