手紙は時を駆け抜けて
私は思いきり知らんぷりをして、いちごミルクをすすりまくる。
そんな私の耳を絶えず気色の悪い男のルンルンな笑いがくすぐりあげる。
私はあまりに気持ち悪く、他人を装ってくるりと体を背ける。
「それは後付けの話だよ。もとは少し違ったはず……」
体の動きは自然と止まった。
空気にとけこんでしまいそうな、ちょっぴり震えた声。
私は静かにその声の主の横顔を見つめた。
薄く白い頬の皮膚の奥が儚く色づいていた。
メガネのレンズが反射するせいで、瞳は隠れていた。
でも、唇を見ればわかる。
ぷっくりとした小さなそれが、大切に想いを紡ごうとしていることくらい。