手紙は時を駆け抜けて
女子らしくもなく、ひょいとカバンを肩に担いで歩く通学路。
重い曇り空をぼんやり見上げている私の頬に、冷たい秋風が突き刺した。
目の覚めるような寒さに、しかめ面で首を縮める私。
気づけば周りには、一様に黒っぽいコートを着て、風に肩もすくめず俯き加減に歩く生徒達ばかりがいた。
私は俯き大人しく彼らに足音を重ね、歩く。
なんだか、オートメーションの機械の大群みたい。
だって、人間なんて、生真面目に前なんか向かなくても、いちいち考えなくても、そこには決まったレールがあるように、進んでいけるものでしょ。
私はひとり、吐息だけで笑い捨てる。
高三の今年、進路なんて言葉は耳にタコができるほど聞いた。