手紙は時を駆け抜けて
3.意気地なしのラブレター
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ほっぺたに、皺くちゃなシーツがべったりとくっついている。
ベッドに倒れ込んだお風呂上がりの体は伸びきって、重く沈みこんでいた。
どうにかむくりと体を起こすと、ベッドサイドにある窓に目を止めた。
開いたレースのカーテンの隙間から覗く、鏡と化した窓。
虚ろな瞳が私を見つめ返す。
耳が丸見えで男の子のように短い髪は、世話を焼かれることもなく濡れたまま頭に張り付いている。
鼻は低くてやぼったい。
唇は皮がむけそうだ。
私は思わず顔を背け、ベッド下からバスタオルを拾い上げると、頭からかぶった。
ツンと鼻の奥が痛くなって無理矢理鼻をすすったら、すごく湿気っぽい臭いした。
わかっていたけれど、私には女子力というヤツが皆無だ。