手紙は時を駆け抜けて
つくづく思う。
同じ友達同士でも、詩織とは大違いだって。
足元に転がっているカバンから徐にあの手紙を出す。
私の手の上に広がる一枚の便せん、崩れのない几帳面な文字。
あの樹の人柄をそのまま表したような字。
耐えきれなくなって、額に紙を押し付けたらぐしゃりと鳴いた。
ファンタジーではあるまいし、なぜ今、死んだ人から手紙が来るの?
声にならない泣き声が、便せんの内側にこもっていく。
それもなぜ、よりにもよって私で、かわいい詩織ではないの?
樹と唯一、幼稚園から一緒のあの子ではないの……?
私は樹と小学校から一緒になっても、その距離は近いようで遠かった。
やっと便せんを下ろし、瞼を閉じて、彼との記憶を呼び起こす。