手紙は時を駆け抜けて
夕日の強い光が狭い廊下にたちこめて、転がる残骸をありありと照らし出す。
折り重なる旗に看板、色とりどりの紙テープ。
まるで、厚化粧を一気に剥がされたみたい。
学園祭は、嵐のように駆け抜けていった。
高校生活最後のイベントだというのに、特別なにも感じることもなく、適当に周りのノリと合わせていたら、あっという間にこの状態に。
今日の昼間まで、ここに声と、様々な色と、熱気が溢れていたことなんて、今では幻のようにしか思えないから、不思議だ。
私はふいにカーディガンのポケットを探る。
指先に紙の縁があたって、私は静かに苦笑した。
<学園祭の夜、屋上に来てくれないか?>
出どころのわからない手紙の分際で、私の頭の中にしっかりと刻みついてしまっている。