手紙は時を駆け抜けて
廊下に整然と並ぶロッカー。
迷わず自らのロッカーを開ける。
カバンを取り出して、肩にかけた瞬間、私は硬直した。
口が開いたままのカバンの中に、この間とそっくり同じ茶封筒。
この前の手紙は、ポケットの中にある……。
胸に大きな鉛を打ちこまれたみたいに、呼吸が止まる。
頭の中がみるみるうちにまっ白になっていく。
パニックになった私は乱暴に、茶封筒の中身を引きずり出した。
<後夜祭、屋上へ来てくれ。本気だから、絶対すっぽかすなよ。 樹より>
心臓が、勝手に大きく脈を打つ。
しかしその刹那、甲高い音が廊下を突き抜けた。
私は一気に音の元へ首を向ける。
階段への曲がり角。
逃げるように角から消えていく、白い上履きの足。