手紙は時を駆け抜けて


そんな一部の人間以外は、大抵流されていくもの。

考えても無駄で、みんなと一緒でいなくちゃで、そんな中で何かをなくして、なかったことにして何かを諦めて、大切なものを心から零しながら生きていくもの。

私はもう既に零して、カバンの内ポケットに変なものをためこんでしまったけれど。

それでも私はこの流れからずっと出ないと思う。

たとえ辛くなっても、流されるだけの楽さに、私が打ち勝てるわけもないから……。

するとぼやっとしている間に、校門に着いていた。

玄関まで歩く途中、道は物で随分とにぎわっている。

通路まで食いつくしそうに敷かれたブルーシート、派手にペンキの塗られたベニヤ板、素人作りの野外ステージ。

そう、いよいよ明日は学園祭なのだ。


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