手紙は時を駆け抜けて
5.まだ青い私たち
*・*・*・*・*
「何してんだ!!」
叫び声が駆け抜ける。
強く力をこめた私の手から、詩織の手が乱暴に抜き去られていく。
私はよろめき、無様に壁へぶつかる。
強く押し当てられた肩が、じわりと痛む。
夢だったらよかったのに、違うらしい。
「詩織に乱暴な真似して! 詩織が、何したっていうんだよ。お前、どうしたんだよ!?」
私の目の前へ、突如人が滑り込み、立ちはだかられる。
まるで仇を見下ろすように、大きく見開いた瞳を向けてくる康太に……。
私は子供みたいにぽたりと、服へ涙が垂れた。
長年の友達なのに、私には彼女がわからない。
壁のように立ちはだかる康太の向こうに、見えていた。