手紙は時を駆け抜けて
そこかしこが、赤にピンク、黄色、水色とこれでもかとトキメキ色に色付いている。
それは流されることにまだ反抗している元気なヤツらの、青春最後の輝きなのかもしれない。
私はそんなヤツらに、愛をこめて顔を綻ばせた。
くよくよと感傷に浸るより、私も元気よく足掻けるヤツらの仲間になっていたら、どんなに素敵だっただろう。
今更無理なことを想像して駆けよった先は、私にお似合いの灰色の下駄箱だったから笑えた。
流されるだけの私は、今日もただ同じように下駄箱の扉を開ける。
なのに、私の手は止まった。
上履きの上に横たわっていた。
色気のない殺風景な茶封筒が。
靴下一枚の足裏からぞくりとする冷たさが一気に上ってくる。