手紙は時を駆け抜けて
一気に押し寄せる夜風。
目を見開く私。
引き寄せられるようにゆっくりと、屋上に足を踏み入れた。
私は静かに息をのむ。
魔法で金色の粒をふりまかれたみたいな濃紺の夜空。
私の体を包むように優しくそよぐ風。
圧倒されながらも私は風に導かれるがまま歩み、屋上の縁まで辿りついて足を止めた。
学校の縁に立った私の元へ、熱気と賑わいがのぼってくる。
そっと覗きこめば、遠い地上で赤々と大きなキャンプファイヤーが既に燃えさかっていた。
踊る大きな炎の周りに今、手を取り合った男女が恋を燃やして集っている。
私はそんな彼らに目を細める。
じわりと恋の熱を帯びる指に力がこもれば、賑わいにのって私のラブレターも声をあげる。
そして私はようやく、金色の瞬く空だけを一途に見つめた。