大好きな人見つけました。
その間もずっと、放課後は悠紀くんの家で勉強した。
一緒にご飯を食べたりして、一緒に過ごした。
悠紀くんがどんどん大きな存在になっていった。
いつもは控えめな私も、悠紀くんの前では笑っていられた。
こんな人が彼氏だったらいいのに。
いつの間にかそう思うようになっていた。
自分でも考えていなかった想定外の想い。
悠紀くんに、恋してる自分に気付いた。
「悠紀くんって、親いないの?」
ふとした言葉。ふとした、感情だった。
ある日言葉にした瞬間、悠紀くんの目は闇色になる。
「それは…」
嘘の笑顔で、応えた。
それも全部嘘。苦しんでる顔が、見えてる。
悠紀くんの目は、闇のように黒くて輝きを失った。
それから、悠紀くんは学校を辞めた。
私がふと聞いた言葉で、悠紀くんを苦しめたのかな。
私が悪かったの?…悠紀くんは優しさに包まれ過ぎている。
私の知らない悠紀くんがいる。