大好きな人見つけました。


「じゃ、もう寝よか」



俺が言うと



「うん、おやすみ」



実歩は微笑んだ。
パジャマ姿の実歩は、幼くてどこか寂しげだ。


幸せは一瞬で掴めない。
そして幸せは、一瞬で逃げてくんだ。


俺も実歩にも家族っていう幸せがない。
友達っていう幸せも安心もない。


孤独な俺達が知り合ってここで暮らすことに、もう違和感はない。

俺は人殺しだ。
幸せを手に入れようとして、間違えたんだ。


実歩も親を殺してしまうんじゃないか。
不安はあった。
だから俺は、実歩を人殺しにしないようにしよう。


親のことも友達のことも、元彼のことも。
全部ここで、忘れてもいいんだよ。



言い聞かせるように、実歩を優しい目で見た。
そのまま眠くなって…


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