大好きな人見つけました。
そして——————————出所の日。
悠紀くんはたぶん、悠紀くんの家に帰ってくるはずだ。十何年ぶりの悠紀くんの家。合い鍵はそのままに、私は家に入る。
なんだか腐臭がキツく残っていて、懐かしい。
実は悠紀くんは、自分の親を殺したことも明確に警察に話した。
だけどそこまで罪が重くなかったのは、まだ悠紀くんが未成年だったからだ。一応高校中退してるし、まあ中卒とさほど変わりはないみたいだった。
高校中退でも働くところなんてまああるし、年齢偽称すれば全然余裕。
未成年のままで良かった。
なんとなくホッとしていたあのとき。
「実歩」
「…あ」
「久しぶり、憶えてるよな?…待っててくれてありがとう」
「…悠紀…悠紀ぃ…悠紀くん…!!」
悠紀くんの胸に飛び込んだ。
あったかくて優しいこの感じは、ずっと変わらない。
大好きな匂いがする。
ちょっとヒゲが濃い気がするけど、でもあまり変わってなかった。色も白いままだし、背も変わらない。
「背、高くなった?」
「160㎝だよ、ちょっと高くなったの」