僕は、君が好きです。
ドキン、ドキン…

胸の高鳴りがどんどん激しくなる。

真凛の指の温もりが俺の手に伝わってくる。

「あ、ごめんっ…!」

真凛が手をどかそうと

手を引っ込めようとしたその時…

ガシッ!

俺は真凛の手を上から力一杯握りしめた。

「えっ…泰詩?」

驚いた真凛が俺を見上げて二人の目が合う。

俺は、さらにギュッと力を込めた。

真凛は黙って俺の顔を見つめていた。

俺の胸の奥にある何かが溢れだしてくる…。

俺の視線と真凛の視線が重なる。

ドキン、ドキン…

静まり返った部屋にこの胸の鼓動が

響いているんじゃないかと思うほど

俺の胸はドキドキしていた。

「泰詩…」

急に、真凛の声で沈黙が途切れた。

「泰詩…ごめん…」

そう言って、真凛が手を離そうとする。

ガシッ…

とっさに、離れていく手を掴む。

「…少しだけ!

もう少しだけ俺を見てて…。

あと少しでいいから…。

だから、このままでいさせて…。」

俺がそう言うと

真凛は黙って頷いた。

このまま時が止まればいいのに。

今、この瞬間…

隠したはずの気持ちが…

しまっておいたはずの気持ちが…

溢れだしてくる。

嘘をついてまで…

また君に近づこうとしていたのに。

気づかないフリをするには

この気持ちは大きすぎる…。

誤魔化すことができない。

そう思ったら俺は今のこの想いを

言わずにはいられなかった。

「俺の事…嫌?」

俺はもうずっと…昔から君だけ。

どうしようもなく好きだ…。

君がいないと俺…

どうにかなりそうなんだ…。

だから…頼むから…

嫌がらないで…。

「…好きだ、真凛が好きだ…

…俺の事見てくれるまで離さない。」

急に出てきた言葉に驚く…。
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