僕は、君が好きです。
私は笑っている泰詩の顔を見上げた。

そしてその顔を黙って見続けた。

泰詩は笑うと涙袋ができて

とても可愛い表情になる。

私はそんな泰詩の笑った顔が

昔からずっと大好きだった。

どんなに遠くなっても…

泰詩が私の前からいなくなっても

私、忘れないよ…ずっと。

そう思って泰詩の顔を見ていた。

泰詩は私が黙ってるのに気づくと

「アハハ…悪いっ…笑いすぎだよな?

でもやっぱ真凛って天然だなっ。」

「え?そうかな…?

自分じゃわからない…。」

「そう言うとこが天然だろ?

バカみたいにお人好しで…

疑う事を知らないし。」

「バカみたいにお人好しって…。

そこまで言わなくても…っ。」

そう言って私は少し不機嫌になった。

「アハハ…怒るなよ…。」

「怒ってないよっ…」

嘘…

私、本当は怒ってる。

だって、私ってドジだから。

鈍感で、いつも間違ってばっかりで…

だから泰詩の言葉が当たってるよ。

でも…改めて言われるとやっぱり

悲しくなる…。

泰詩、私をずっと…

バカだって思ってたのかな?

そう思いながら私は歩き出した。

「おいっ、どこにいくんだよ?」

泰詩の声を背に私は無視して歩く。

「チラシ、配るんだろ?」

「……」

「配らないと、遊べないぞ。」

「……」

私は泰詩の声を無視し続けた。

「笑いすぎた…悪かったよ…。」

「………」

それでも私は泰詩の声を無視して

下を向いたまま歩いた。

前を向いたら涙を流している事が

泰詩にばれてしまいそうだから…。

「おいっ…

下を向いたまま歩くと危ないぞっ。」

泰詩の声が後ろから追いかけてくる。

私は泣いてるのを知られたくなくて

歩くスピードを速めた。
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