僕は、君が好きです。
「すみませーんっ…

そいつ離してもらえます?」

振り返ると、泰詩が腕組みしながら

私達を見ていた。

「は?何、お前?

俺、今この子と話してるから!

マジで邪魔すんなよっ…。」

そう言ってその人は私の腕を持ったまま

別の場所に移動しようとする。

「痛っ…嫌…っ」

私がそう言った瞬間…

ガシッ!

泰詩は私の腕を掴んでるその手を掴んだ。

「離せよ…。」

そう言って泰詩はその人を睨み付ける。

泰詩の身長が高いせいか

その男の人を少し見下ろすように

泰詩が見ている。

「………うざっ。」

泰詩の迫力に圧倒されたのか

そう言って私の腕を離した。

泰詩はまだ睨んでいる。

そして左手で私の前に軽く腕を伸ばして

私を守ってくれていた。

泰詩のこんな恐い顔はじめて見た…。

「はっ、何だよ…男いたのかよ…っ。」

そう言って吐き捨てるように言うと

その人はその場から立ち去った。

はぁ…本当に怖かった…。

そう思って私は床に座り込んでしまった。

「大丈夫か?」

泰詩も私の視線に合わせて身を屈めながら

私の顔を覗き込んだ。

「うん…大丈夫…。」

そう言って顔を見上げると

泰詩の顔が緩んでホッとした様な

表情になっていく…。

いつもの泰詩の顔だ…。

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