僕は、君が好きです。
「ほらっ…。」

泰詩は自分の手を差し出す。

「泰詩…ありがとう…。」

私はその手を掴み立ち上がった。

「じゃあ、行くぞ…?」

泰詩はゆっくりと歩き出す。

「うん…。」

私は泰詩の後ろを歩き出す。

私…本当に何やってるんだろ…。

いつも泰詩に迷惑ばっかりかけて

ダメな所ばっかりで…

もっと何でも上手にできたら…。

泰詩みたいにスポーツも勉強もできたら。

絵莉ちゃんみたいに何でも器用にできたら。

皆みたいに出来なくていいから

今よりほんの少しだけでもいいから…。

そしたらきっと

今より自分に自信が持てるのに。

「やっぱり私はダメだ…。」

そうポツリと後ろで言った。

そしてまた私は下を向いたまま歩き出す。

トンッ…

あっ…

また誰かにぶつかっちゃったっ…。

「すみません…!」

私が謝ろうとして

顔を上げると泰詩の顔が見えた。

「あれ…泰詩っ。」

「また下を向いたまま歩いただろ…。」

そう言って泰詩は少し笑った。


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