僕は、君が好きです。
「ごめん…っ。」

私がそう言って泰詩の前を

歩き出そうとした時…

「俺は真凛がダメだなんて

そんな風に思った事ないよ。」

泰詩の声が私の後ろから追いかけてきた。

「え?」

その声に振り返ると

泰詩は私を見つめていた。

「真凛はダメじゃないよ。」

今度は私の目の前で泰詩が言う。

今、ダメじゃない…って言った?

「嘘だぁ…ダメだよ…

だって私って不器用だし

スポーツも勉強も得意じゃない…。

皆、何か得意な事あるのに…。」

「そうか?」

「そうだよっ!

泰詩のその衣装…

絵莉ちゃんが作ったんだよ?

凄いなーって尊敬するよっ…。

絵莉ちゃんは明るくて可愛くて

器用で頭も良くて…

本当に尊敬する!私の自慢の友達だもん。」

「ふっ…」

"ふっ…"?えっ…今、笑った?

泰詩の口から白い歯が見えていた。

「そっか…

俺はそうやって素直に人を誉める所とか

誰に対しても裏表がなくて

バカみたいに正直で人を信じて

疑わないお前の方が

よっぽど凄いし、尊敬するよ。」

「え…。」
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