僕は、君が好きです。
「早くしろよ、先いくぞ~!」

「待ってよ~っ!!」

私は、急いで駅の階段を下りる。

その時…私の靴が片方脱げてしまった。

ウソッ!

急いで階段を上がって靴を履き直すと

プルプルプル~

それと同時に発車ベルが鳴った。

あっ、扉が閉まっちゃう!

バタンッ!

「うそ…閉まっちゃった…。」

電車が発車して動き出した。

「あぁ…」

電車を見送りながら階段を下りて

ホームで呆然としていると

「ばーかっ。」

私の後ろで声がした。

振り返ると…

泰詩がホームのベンチに座ってた。

「泰詩!」

「えっ?乗ったんじゃないの?」

だって…

泰詩…先に乗ったと思ったのに。

「たくっ、タラタラしてるからだろ?」

泰詩がベンチから腰を上げて歩いてくる。

「ごっ、ごめんね…。」

泰詩、待っててくれたんだ…。

私は、何だか嬉しくなって

泰詩の顔を見上げた。

「泰詩…ありがとう。」

私が泰詩の顔を見て笑うと

泰詩も私を見て

フッと目元が優しくなった。

私はこの顔が昔から大好きだ。

だってこの時の泰詩は…

本当に優しく笑うから。

だから昔からこの優しい瞳の泰詩を

ずっと見ていたくなる。

泰詩は、いつもは素っ気なくて

ちょっと冷たい時もあるけど

でも、私が困るといつも助けてくれた。

正確には、助けにきてくれてる気がする…

なんだけどね。

だからね…私、知ってるんだよ?

泰詩は本当はすごく優しいって。

いつもはぱっちり二重で

基本くっきりした顔だから

無表情だとちょっと

近寄りがたい感じなんだけど…

いっぱい笑うと顔がクシャッてなって

可愛い顔になる。

私はそんなクシャってなった

泰詩の顔が好きなんだぁ。
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