僕は、君が好きです。
あの日から2ヶ月が過ぎた。

俺は未だにあの日の学園祭での事を

思い出す。

そのせいで…

岸田さんに声をかけられるまで

ホームに電車が入ってきた事すら

気づかなかった。

あの日の事が頭にこびりついて離れない。

ふとした瞬間に頭の中であの日の出来事を

何度も繰り返し、思い出してしまう。

どうして急に真凛の態度が変わったのか…。

何で真凛は俺を避けたのか…。

あの日…

俺を拒絶した真凛の顔が頭から離れない。

走って駅のホームからいなくなった

真凛の後ろ姿。

教室で声をかけても

避けるようにいなくなる君。

頭の中が混乱しておかしくなりそうだ…。

あれから渋谷と真凛はよく一緒にいる。

あの二人…まだ付き合ってるのかなんて

変に勘ぐって気分が沈む。

あの日、学園祭で何があったのか…

俺と離れて次に会うまで…

その空白の時間にあった出来事を

知りたくてたまらなかった。

学園祭で見た君の笑顔…

あの笑顔は本当だったと思うから。

だから…その後の君の凍りついた様な顔が

頭から離れないんだ…。

だって真凛はあんな態度、平気で誰かに

出来るヤツじゃないから…。


「もうすぐ、期末試験だねぇ…。

仲原くんは勉強してる?」

「まぁ、ぼちぼち…岸田さんは?」

「私は、まぁそれなりかな…

でも、仲原くんは頭いいから

私のとは比べられないねっ…。」

「そんな事…

岸田さんだって成績いいでしょ。」

「アハハ…仲原くんにそう言われると

何か嬉しいなっ…

ねぇ、今度わからない所、聞いていい?」

「…いいよ、俺でよかったら。」

「本当に?やったぁ…!」

岸田さんはそう言って少し微笑むと

電車の窓を覗き込んだ。

「あっ…雪…!」

「え?」

「雪が降ってきたみたい…。」

岸田さんは窓を指差して俺の顔を見た。

俺も言われるがままに窓に目をやると

雪が風に吹かれて電車の窓に

当たるのが見えた。

「あ…本当だ、雪…」

雪かぁ…久しぶりだなぁ。

「えーっ、雪かぁ…

積もると明日とか大変だね…。」

「…だね…。」



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