僕は、君が好きです。

「真凛…どうしたい？」

「…どうしたいって？」

私はただずっと

誰も傷つけたくなかった…。

「真凛は大事な物ある？」

「……え？何…？」

「…自分以外に大事な物ある？」

「え…大事な物？」

泰詩の言葉が胸に突き刺さる…。

息が苦しくなっていくのがわかった。

ズキズキと胸が痛む。

泰詩の言葉が頭を駆け巡る。

その瞬間…ハッとした。

そうだ…私…

誰も傷つけたくないなんて嘘…。

私は、ただ…いいこぶりたかっただけで

嫌われるのが恐くて…

周りを気にしてただけなんだ。

本当は…

泰詩の事、全然考えてあげてなかった…。

泰詩は、いつだって…

私を大事にしてくれた。

私のは、大事にするフリ…だ。

絵莉ちゃんにも…合わせるフリだった。

だからこんな事になってしまった。

人は…

自分の痛みにはこんなに敏感なのに

自分以外の人の痛みには鈍感だ…。

私は、昔と何も変わってなかった。

泰詩の痛みをわかったフリして

本当は何一つわかっていなかった。

泰詩はもうずっと

辛くて、苦しくて、悩んで……

そんな泰詩から目を背けてた。

泰詩の優しさに甘えてた。

「真凛…」

「え？」

今までの声とは対照的に

急に泰詩の声が優しく響く。

「もしかして自分を責めてる…？」

「……」

「ごめん、俺…

真凛が思ってるようなヤツじゃない。

優しくもなんでもないから…。

だから…はっきり言う。

…俺を避けてるのは何で？」

泰詩の真剣な眼差しが私に突き刺さる。

私は、目をあわすことができない。

「…言いたくない？

…こんな時

優しくて相手を思いやれるヤツなら…

どうするんだろうな？」

そう言って泰詩は笑って

私の顔を見つめるとゆっくりと

また話し出す。