僕は、君が好きです。
「真凛、マジで置いてくぞ。」

泰詩が振り向いて私を呼んだ。

「あ!ごめんっ。」

「ぼやぼやしてるなよ。」

「はいはい、すみませんねぇ…っ。」

あ…でもでも…

ちょっと待って…。

今…さっき騒いでた

女子の矢のような視線を

背中に集めてて…

こっ、怖い…。

「あの子、誰だっけ?」

「仲原くんとけっこう一緒にいるよね。」

「この前、うちのクラスの男子が

あの子見て騒いでた…。」

「そうそう!

うちのクラスの男子もだよ~。」

「彼女なの?」

「嘘~!!ショック…。」

「男ってああいうの好きだもんね。」

「えー!やだぁー!」

「まじうざぁい~。」

女子が私を見ながら

ひそひそ言ってるのがわかった。

嫌だなぁ……。

私、何もしてないのに…。

そう思って下を向いていると

「真凛、どうした?何か落ちてるのか?」

「前見てないとぶつかるぞ?」

泰詩が私を見て笑っていた。

泰詩の笑った顔を見たら少し元気がでた。

「失礼な!

私は、下を向きながら

しっかり前を見れるんですっ!」

「はぁ?なんだそれ、あっ…!

そう言えば真凛今日、日直じゃね?」

「うそ!私、急ぐから、先にいくぬ!」

あっ、噛んじゃった…。

「ぬ?」プッ

泰詩が私を見て吹き出してる。

「急がなくても、すぐそこだろ…。」

そうじゃなくてね…

今、泰詩が私の横にいることが問題なの!!

「いいのー!じゃねっ。」

私は、走って教室に向かった。

はぁ……

あの怖い視線は、マジでムリ…。

これから泰詩といると

あの女子の視線が刺さるのかな?

どうしよう…なんか不安だよ。

泰詩が少し遠くなかった気がした…。
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