僕は、君が好きです。
渋谷くんは、何も聞こえてないみたいに

私にメニュー表を見せたままでいる。

「市ノ瀬、どうする?」

「あっ…じゃあ、レモンスカッシュ…。」

「オッケー!じゃあ、俺はコーラかな。」

そう言って渋谷くんは席を立って

部屋の電話で注文していた。

「ありがとう…。」

戻ってきた渋谷くんに

お礼を言うと渋谷くんの

口元が少し笑っているように感じた。

しばらくして、店員さんが

飲み物を運んできた。

すると、それに気がついたのか

佐伯くんが私の名前を呼んだ。

「おーっい!真凛ちゃん!!

今日来れたんじゃんっ…!

さっき、来れないって聞いてたから!

これで全員じゃね?集まりいいじゃ~んっ…

ねー真凛ちゃん、こっち来て歌ってよ~!」

佐伯くんがマイクで話しているせいか

その声は全員に注目されて

部屋中の全視線が私に注がれる。

佐伯くん……っっ!。

私の顔が熱くなって赤くなるのがわかった。

「佐伯……うるさーいっ!」

渋谷くんが佐伯くんに言い返すと佐伯くんは

負けじとまた言い返した。

「おーっい!渋谷!

何でお前は、いつも真凛ちゃんの

隣にいるんだよ!説明しろ!」

その言葉で周りの男子が面白がって

囃し立てたり、便乗してくる。

「アハハ!!そうだよなぁ~!」

「二人は付き合ってるんですかぁ~?」

「真凛ちゃん、俺と付き合って~!」

「お~いっ!お前と

付き合うわけねーだろっ!」

男子が面白がって騒ぎだしたせいで

女子が何人か部屋の外に

出ていってしまった。

「ねぇ、ちょっと…男子!うるさいっ!」

絵莉ちゃんのグループの女子が

マイクで話し出した。

「そんな話…今、どうでもいいんですけど…

それより曲入れてくれない?」

それに応えるように

佐伯くんがマイクを取ると

「まぁまぁ、仲良くね~じゃあ、歌いたい人

曲の入力しといてー!

真凛ちゃんも歌ってね!」

そう言って場を盛り上げようとしている。
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